虫歯
虫歯の原因
歯垢や歯石は細菌の温床になります。
これを放置すると、周囲の歯肉を刺激して歯肉炎となり、最終的には歯周病を引き起こします。
細菌がつくり出した酸は、エナメル質を溶かして歯に穴をつくり、虫歯になります。
ごく初期の虫歯では、エナメル質の表面は溶けず、その下から溶け始めるエナメル質の表層下脱灰が起こります。
この段階はまだ初期のう蝕です。
唾液による歯の表面の再石灰化で修復が進み、歯が元に戻る可能性があります。
再石灰化で補うお口の中には、口腔常在菌という細菌がたくさん存在しています。
この中には「ミュータンス連鎖球菌」を中心とするう蝕(虫歯)原因菌があり、これらは食べ物(特に砂糖やでん粉等の糖分)から酸をつくり出します。
う蝕原因菌と酸、食べかす、唾液は結合し、歯垢となって歯に沈着します。
この歯垢がすぐに歯から取り除かれないと、やがて硬化して歯石へと変化していきます。
う蝕(虫歯)原因菌によって歯が溶かされていくと、徐々に痛みを感じる虫歯に発展していきます。
治療方法
当院では、「MI=ミニマル・インターベンション(Minimal Intervention)」を意識した診療しております。
ミニマルという言葉通り、犠牲を最小限に抑え、本当に悪くなったところだけを取り除いて修復していく治療法です。
また、医科レベルの滅菌を行い、繰り返し使う機材は専用の滅菌機で滅菌した上で使用しています。
虫歯の治療には、簡単に分類すると「つめる」「はめ込む」「被せる」という3つの方法があります。
「つめる」は初期の虫歯、「はめ込む」は初期~中期程度の虫歯で行う治療方法です。
※「つめる」だけでは対応できない場合、金属、セラミック、ハイブリッドレジンなどの人工物で歯の一部を補います。
「被せる」は、中程度~重度の虫歯で行う治療方法です。
※虫歯が広範囲に及んだ場合は、病巣の部分をすべて削り、金属、セラミック、ハイブリッドレジンなどの人工物を上から被せます。
早期発見・早期治療が肝要。
虫歯はできるだけ初期の段階ですぐに治療しましょう!
根管治療
虫歯が深い場合、その歯だけを治療するのではなく、歯の根の先まで治療する必要があります。
根の治療をせずに歯の診療だけで終わらせてしまうと、後に化膿して抜歯が必要になることもあります。
歯の根の治療(根管治療)とは、深い虫歯などで歯の神経を取ったあと、神経が入っていた根管をきれいにして、根の先まで薬を入れる処置です。
根管治療は、被せ物などの土台になる根の治療であり、歯を残すためには最も大切な方法です。
ただ、根管はそれぞれの歯によって形も複雑です。
手探りの作業になるため時間をかけて処置をしないと、根の先まで完全にきれいにすることはできません。
後になって、根の先に病気が発生してしまうこともしばしばあります。
当院ではできるだけ歯を抜かずに診療するため、根管治療に力を注いでいます。
重度の虫歯でお困りの方は、一度、当院にご相談ください。
妊婦歯科
妊娠期の治療
妊娠中に歯科治療を行なってはいけない時期は、原則的にはありませんが、妊娠初期、妊娠後期は基本的に応急処置のみとするのがおすすめです。
妊娠中期(5~6カ月)であれば、ほとんどの妊婦さんが問題なく治療できます。
妊娠初期2~3カ月間は流産の心配があるため、過度な緊張や長時間にわたる歯科治療はなるべく避けたほうがよいでしょう。
いったん応急処置にとどめておき、後日妊娠4~7カ月の安定期に歯科治療を受けると無理がありません。
産後すぐは赤ちゃんの世話で通院が難しくなるため、虫歯、歯周病など必要があれば、安定期に積極的に治療することをおすすめします。
妊婦歯科検診のご案内
妊婦さんも安心して、受診していただけるように心がけています。
元気な赤ちゃんを産み、育てるためには、お母さんが心身共に健康であることが第一です。
煙草やアルコールによる赤ちゃんへの悪影響(流産を含む)は以前から知られていますが、重度の歯周病にかかっている母親からは、早産や低体重児出産の危険性が約7倍になることが、最近の研究でわかってきました。
歯周病は、タバコやアルコールよりも、影響が大きいという結果が出ています。
また、生まれたての赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいませんが、母親に虫歯があると、そこから赤ちゃんに感染する恐れがあります。
出産前にお口の中の状況を把握し、適切なケアを身に付けていただくことで、母子ともに健康で過ごせるお手伝いをいたします。
妊婦歯科健診の必要性
妊娠中はつわりや食べ物の変化により、普段よりも口の中が不潔になりやすく、虫歯ができやすい環境になります。
妊娠中の虫歯治療には制限があるため、完治までに時間がかかったり、強い痛みが生じたりすることもあります。
また、ホルモンの影響などによる歯肉炎(歯周疾患)も生じやすくなります。
妊娠期に歯科健康診査を受診することは、虫歯を含む口腔疾患の予防に重要な意味があります。
妊娠中のお母さんの口内の健康状態は、生まれてくる赤ちゃんの発育と深く関係しているのです。
妊娠期の特徴
妊娠期は、つわりで歯磨きがおろそかになりやすく、子宮が大きくなるため胃が圧迫されて1回の食事量が減り、食事回数(間食)も増えます。
また、ホルモンバランスが変化し、唾液の分泌量が減少(口腔内の酸性化)して、歯が弱くなるなどの特徴があります。
お口の中が汚れがちになり、虫歯や歯肉炎が起こりやすくなります。
つわり時の対応
つわりには個人差があります。
入浴中やテレビを見ているとき、心も体もゆっくりできるときには、歯磨きがしやすくなることがあります。
つわりで歯磨きが面倒なときは、ブラッシングの時間帯を変えてみてはいかがでしょうか。
また、ヘッドの小さい歯ブラシや、刺激の少ない歯みがき剤などに変えてみると、抵抗がなくなることがあります。
つわりがひどくてどうしても無理なときは、殺菌効果のあるうがい薬(デンタルリンス)を代用するなど、工夫してみましょう。